うぃあ津軽衆/津軽言語学/辞典:あ行

津軽弁辞典:あ行【162語】

あぁ[a:]
口語 あんなに。【同】あしたに。
あい[ai’]
①あいつ、あの人。②あれ。
あいったぁ[a’(i)tta(:)]
口語 (大変な様子で)あら、まぁ。【同】あっっつぁ。【例】あっつぁ、まいった=あれまぁ、困ったもんだ。
あがたがれ(垢集れ)[agataga’le]
風呂に入らずに垢が溜まっている人。不潔な人。
あがりぃ(明りぃ)[agaki’(:)]
<グ>明るい。【対】くれ=暗い。
あがる[agalu’]
<自ラ五>(雨が)土砂降りになる。【例】あめ・あがって・くる=雨が・土砂降りになって・くる。【参】あがる[aηalu’]=(雨が)降り止む。
あぎらがす(飽ぎらがす)[agilaga’s]
<他・五段>飽きてしまう。
あくたらしねぇ[akutalasine’(:)]
<グ>態度が横柄で、ガラが悪い。
あぐど[agu’do]
(足の)かかと。
あぐど(悪戸)[agu’do]
<地名>弘前市悪戸。弘前市西部に位置するリンゴの産地。
あぐばって[aguba(t)te’]
<グ>大きくて邪魔だ、出っ張っていて邪魔だ。【例】なんぼ・あぐばってぇ・ばな=なんて・邪魔なん・でしょう。【派】あぐばる(動)
あぐばる[aguba’l]
<自・五段>出っ張る。【派】あぐばってぇ(形)=出っ張っていて邪魔な様子。
あげた[aηeta’]
(口内の)上顎の部分。
あさぐ[asa’g]
<他・五段>歩く。
あさま(朝間)[asama’]
朝。
あしだが(足高)[asidaga’]
わら草履。
あすこ[asuko’]
あそこ。【同】あっこ。【参】こご=ここ、そご=そこ、どご=どこ。
あすっこ(足っこ)[asukko’]
足。
あずましぃ[`a(n)zumasi’(:)]
<シグ>心地よい、気持ちがいい。
あだっこ[a’dakko]
子守。または子守をする人。
あだめぇ[adame’(:)]
当たり前、当然のこと。【例】あだめに・じぇんこ・もらうき・がって=当たり前に・お金を・貰おうと・思って。
あだり[ada’li]
<卑語>体が不自由になった人。【派】あだる=脳卒中や脳溢血になる。
あだる[adalu’]
①脳卒中や脳溢血になり、体が不自由になる。【派】あだり=体が不自由な人。②食あたりをする。
あぢ[azi’]
あっち、あちら。【派】あっちゃ=あちらへ。
あづぅ(厚ぅ)[azu(:)]
<グ>①厚い。【対】うすぅ。②むかつく(奴だ)。
あっこ[akko’]
あそこ。【同】あすこ。【参】こご=ここ、そご=そこ、どご=どこ。
あっこだり(彼処辺り)[akkoda’li]
あのへん。【例】あっこだり・だば、ふる・べぇ=あの辺・だったら、(雪が)降る・でしょう。
あっちゃ[a’ccha]
母親、お母さん。【同】かっちゃ、あっぱ。
あっちゃ[accha’]
あっちへ、あちらへ。【派】こっちゃ=こちらへ。
あっちゃこっちゃ[acchako’ccha]
あちこち。【参】あっちゃ=あちらへ、こっちゃ=こちらへ。
あっつぁ[a’ttua(:)]
口語 (大変な様子で)あら、まぁ。【同】あいったぁ。【参】五所川原地方で使われる。
あっつぅ(暑っつぅ)[attsu’(:)]
<グ>暑い。【対】さんび。
あっつぅ(熱っつぅ)[attsu’(:)]
<グ>熱い。【対】しゃっけ。
あっぱ[appa’]
母親、お母さん。【同】かっちゃ、あっちゃ。
あっぱ[appa’]
お母さん。【同】かっちゃ、おが。
あっぺる[appe’lu]
(物を)盗む。【同】ぎる。【例】ちゃり・あっぺら・いだ=自転車・盗まれ・た。
あでっこ(相手っこ)[a(i)dekko’]
(面倒を見る)相手、対戦相手。【例】わぁ、もっけの・あでっこ・さにゃぁ・まね・はんで=俺、妹の・相手を・しなきゃ・いけない・から。
あどはだり[adohada’li]
おかわり。後でもう一度欲しくなること。【派】はだる=ねだる。
あに(兄)[a’ni]
長男。【同】あんこ。
あねこ(姉こ)[aneko’]
娘。
あねさま[anesa’ma]
お嬢様。
あば[a(n)ba’]
オバサン。【同】あばちゃ。
あばちゃ[a’(n)baccha]
オバサン。【同】あば。
あぶらげ(油げ)[a(n)bula’ηe]
油揚げ。
あべ[abe’]
来なさい。【類】こい・へ=来なさいよ。
あへづがしぃ[ahezugasi’(:)]
<シグ>急いでいる様子。せわしない。
あへる[ahe’l]
<他・五段>焦る。
あへんど[ahe’ndo]
相づち。
あへんど・とる[ahe’ndo-tolu]
<ラ五>相づちを打つ。
あます(余す)[ama’su]
<他・五段>もてあます、ギブアップする。余分にあまらせる。
あめぇ(甘ぇ)[ame’(:)]
<グ>①味が薄い。②甘い。【参】砂糖味の「甘い」は「さどめぇ」。
あめくせぇ(甘くせぇ)[amekuse’(:)]
<グ>①腐り気味である様子。【派】あめる(動)。②(性格が)甘い。
あめる[amelu’]
<自・下一>腐る。【派】あめくせぇ(形)=腐っているっぽい。
あや[aya’]
お父さん。【同】おど。【対】あっぱ=お母さん。
あや(文)[aya’]
①お手玉。②難癖、文句。③囃子の「転がし」。【同】あやっこ。【音】あや=お父さん。
あやっこ(文っこ)[aya’kko]
①お手玉。②難癖、文句。③囃子の「転がし」。【同】あや
あらげねぇ(荒げねぇ)[alagene’(:)]
<グ>乱暴な様子。
あれぇ[a’le:]
連体 (驚いた様子で)あれまぁ。
あわくぅ(泡喰う)[awa’ku(:)]
<自・下一>泡を食う、慌てる。【例】あわくって・まって=あわててしまって。
あんこ[a’nko]
①長男、お兄さん。【参】おんじ=次男。②おはじき。
あんさま[a’nsama]
長男。【参】おんじ=次男。
あんじゃ(痣)[anja’]
青あざ、あざ。
あんだ[anda’]
口語 ああだ、あの通りだ。【派】こんだ=こうだ、この通りだ。
あんだこんだ[anda’konda]
口語 ああだこうだ。【例】あんだこんだ・しても・まね=ああだこうだ・言っても・駄目だ。
あんぶ[a’nbu]
(虫の)ハエ、アブ。
あんべ(塩梅)[a(n)be’]
塩梅、具合。【例】あんべ・わりぃ=具合が・悪い。

いぃ[i(:)]
口語 ああそうか。ええ。はい。
いぃ(良ぃ)[i’(:)]
①良い。【対】いぐねぇ(形)=悪い。②(口語で)いらない。
いいがる(良いがる)[i:ηal]
いい気になる、調子に乗る。【同】いいきがる。【例】あいだっきゃ・いいがっちゅっ・きゃ=あいつはいい気になっている・よね。
いいきがる(良い気がる)[i:kiηalu]
いい気になる。【同】いいがる。【例】あいだっきゃ、いいがっちゅっきゃ=あいつは、いい気になっているよね。
いがいがど[iηa’iηa’do]
傲慢で威張っている様子。
いがさ(良がさ)[i’gasa]
口語 いいのか。【例】どじ・いがさ=どちらが・いいのか。
いがないがな[i’(:)ηanaiηana]
口語 なんのなんの。
いぐでねぇ(良ぐでねぇ)[igudene’(:)]
<グ>悪い。【例】いぐでねぇ・もんでも・くったんでいな=悪い・物でも・食べたのではないか。
いぐねぇ(良ぐねぇ)[igune (:)]
<グ>悪い。【参】いぃ(形)の否定形。
いげじゃがしぃ[igejagasi’(:)]
<シグ>お節介で生意気だ。
いごせぇ(良ごせぇ)[igose’(:)]
口語 いいですよ。【例】くった・ほづ・えごせぇ=食べた・方が・いいですよ。
いずい[i(n)zu’i]
<グ>むずがゆい、体がしっくりいかない様子。
いだわしぃ[idawasi’(:)]
<シグ>勿体ない。【派】いだわしがる=勿体なく思う。【同】いずい。
いだわしがる[idawasiηa’l]
<他・五段>勿体なく思う。【派】いだわしぃ=勿体ない。
いっしょずに(一緒ずに)[issyo’zuni]
同じく、一緒に、共に。
いづだかんだ[izudaka’nda]
時間に関係なく。【参】どごだかんだ=場所に関係なく。
いづだり[izudali’]
とんでもない時間に、時期に。【類】いづだかんだ=時間に関係なく。
いっつが(何時が)[i’ttsuga]
すでに、もう、いつの間にか。【例】いっつが・くっちゃぁ=もう・食べている。
いっとごま(一時間)[i(t)togoma’]
少しの時間。【参】いっとまが=あっという間。
いっとまが[chottogoma’]
あっという間。【同】いっとごま/ちょっとごま=少しの間。
いづのこめに[i’zunokomeni]
いつの間に。【例】いづのこめに・まま・くったば=いつの間に・ご飯を・食べたんだい?
いっぱだだ(一端だ)[ippadada’]
形動 趣味のよくない、変な、奇妙な。
いっぺ(一杯)[ippe]
いっぱい、沢山。【例】いっぺ・けぇ=いっぱい・食べろ。
いどまなぐ(井戸眼)[idomana’g]
くぼんだ眼。【派生語】まなぐ(名)=目。
いの’ぐ[ino’gu]
<ガ・五段>動く。
いらう(要らう)[ila(l)u’]
<ラ五>要る。【例】いらる・もん・だば、なげねぇし=必要な・もの・なら、捨てないし。
いんずぃ[i(n)zi(:)]
<グ>むずがゆい、体がしっくりいかない様子。【同】いんずぃ。
いんつくる[i’ntsuku’lu]
<他・五段>いじる、いじくる。【類】ちょす=いじる。

うすけねぇ[usukene’(:)]
<グ>気の弱い、弱虫な。【類】じぐねぇ=度胸がない、おっこながり=恐がり。
うすちゃかし[u(n)suchakasi’]
→ちゃかし
うだでぇ(疎でぇ)[udade’(:)]
<グ>気が滅入るくらい大変な。
うづげる[u(n)zugelu’]
<他・下一>(人に)甘える。【例】うづげで・ばり・いる=甘えて・ばかり・いる。
うって[u’tte]
うんと、すごく。【例】うって・がんばれ=すごく・がんばれ。
うながら[unagala’]
胸部の前面。
うぬうぬど[unu’unudo]
(欲にたけて)一目散に。
うるがす(閏がす)[uluga’su]
<他・五段>水に浸してしんなりとさせる。【派】うるげる=水に浸ってしんなりとなる。
うるげる(閏げる)[uluge’lu]
<自・下一>水分を吸って、シワシワになる。【例】ゆっこさ・いったっきゃ・うるげで・まったじゃ=風呂に入ったら、シワシワになって・しまったよ。
うるだぐ[uluda’gu]
<他・五段>うろたえる。【例】うるだいで・まって=うろたえて・しまって。
うるへぇ[uluhe’(:)]
<グ>うるさい、騒がしい。【例】うるへして・まね=うるさくて・だめだ。
うるめぇ[ulumr’(:)]
<グ>じっくり味わえて美味しい。
うわっぱり(上張り)[uwappali’]
上着、ジャケットやジャンパーなど。
うんじゃめぎ[u(n)jamegi]
ゾクゾクする感じ、悪寒。
うんじゃめぐ[u(n)jame’gu]
<グ>(体が)ゾクゾクする、悪寒がする。【派】うんじゃめぎ=ゾクゾク感、悪寒。

え(家)[e’]
家。
えっと[e’tto]
逆じゃんけん。負けた方が勝ちのじゃんけん。
えっぱだだ[eppadada’]
形動 →いっぱだだ
えっぺこ[e’ppeko]
Hをすること。
えふりこぎ(良振りこぎ)[efulikogi’]
良い格好しい、格好をつける人。
えふりこぐ(良振りこぐ)[e’fulikogu]
<他・五段>良い格好をする、格好をつける。【派】えふりこぎ(名)=いい格好しい。
えへる[ehe’lu]
<他・五段>いじける。【派】えへこんつける=いじけてしまう。
えんかぬげる[enka’nugelu’]
<自・下一>(ビールやコーラなどの)炭酸が抜ける。
えんつける[entsuke’lu]
<他・下一>いじける。【同】えへる=いじける。
えんつこ[e’ntsuko]
嬰児籠。
えんと(延と)[e’nto]
延々と、長々と。【例】えんと・のんでねんで=長々と・(酒を)飲んでいないで。
えんび(海老)[enbi’]
エビ。
えんぷてぇ(煙ぷてぇ)[enpute’(:)]
<グ>煙い、煙たい。【例】えんぷてして・まなぐ・しょんぼしょんぼどなる=煙たくて・目が・ショボショボになる。

おいの[oino’]
口語 うちの~。【例】おいの・え=私の・家。
おおやげ[o’:yage]
金持ち。
おが(お母)[aga’]
お母さん。【対】おど=お父さん。【同】かっちゃ、あっぱ。
おがる[oηa’lu]
<ラ五>大きく成長する、育つ。【例】わい、ずんぶ・おがった・っきゃ=あれまぁ、ずいぶん・大きくな・ってぇ。
おじゃっこ(お茶っこ)[ojakko’]
お茶。
おせぇ(遅ぇ)[ose’(:)]
<グ>遅い。【対】はえぇ。【同】とれぇ。
おっかがる[okkaga’lu]
<自ガ五>(壁などに)寄りかかる、もたれかかる。【派】おっかげる(他)
おっかげる[okkage’lu]
<他ガ下一>(壁などに)寄りかける、またれかけておく。【派】おっかがる(自)
おっかながる[o(k)kanaηalu’]
<他・五段>怖がる。【派】おっかなみ(名)=怖さ。おっこねぇ(形)=怖い。
おっかなみ[okkanami’]
恐怖心、怖さ。【派】おっこねぇ(形)=怖い。おっかながる(動)=怖がる。
おづげ[o(n)zuge’]
みそ汁。
おっける[okke’lu]
<自・下一>転ぶ。【例】おっけって・まった=転んで・しまった。
おつける[o(t)tsuke’l]
<他・下一>押す。津軽では「押す」と同じくらい用いる。
おっこながり[okkonagali’]
恐がり。【派】おっこねぇ=怖い。
おっこねぇ[okkone’(:)]
<グ>怖い。【派】おっかなみ(名)=怖さ。おっかながる(動)=怖がる。
おったる[otta’lu]
<自ラ五>疲れ果てる。
おっちゃ[o’ccha]
お父さん。【対】あっちゃ=おかあさん。【同】とっちゃ、おど。
おっぽ(尾っぽ)[o’ppo]
しっぽ。
おど(お父)[odo’]
お父さん。【対】おが=お母さん。【同】あや、とっちゃ。
おどげ[odo’ηe]
(顔の)アゴ。
おどご(男)[odogo’]
男。【複】おどごんど。【対】おなご=女。
おどごぶり(男振り)[odogobuli’]
男らしさ。【派】おどご(名)=男。【参】おどご+ふり。
おどごんど(男等)[odogo’ndo]
男たち。単数形は、おどご。【対】おなごんど=女たち。
おどぢ[odo’zi]
尻。【参】「どぢ」の丁寧語。
おなご(女)[onaηo’]
①女。複数形は、おなごんど。【同】めんた。②(交際相手としての)彼女。
おなごぶり(女振り)[onaηobuli’]
女らしさ。【派】おなご(名)=女。【参】おなご+ふり。
おなごんど(女等)[onaηo’ndo]
女たち。単数形は、おなご。【同】めらはんど。【対】おどごんど=男たち。
おめぇ(お前)[ome’(:)]
(二人称単数)貴方、お前、君。【複】おめんど、おめんだい、おめだぢ。【同】なぁ。
おめだぢ(お前達)[omeda’zi]
(二人称複数)あなた達、おまえら。単数形は、おめぇ。【同】おめんど、おめんだい。
おめんだい(お前達)[omenda’i]
(二人称複数)あなた達、おまえら。単数形は、おめぇ。【同】おめんど、おめだぢ。
おめんど(お前等)[ome’ndo]
(二人称複数)あなた達、おまえら。【単】おめぇ。【同】おめんだい、おめだぢ。
おもしぇ(面白ぇ)[omoshe’(:)]
<グ>面白い。【例】おもしぇ・して、おもしぇ・して=面白くて、面白くて。
おもでぇ(重でぇ)[omode’(:)]
<グ>重い。【対】かりぃ。【例】ずんぶ・おもでぇな=ずいぶん、重いなぁ。
おやぐ[oya’g]
親戚。【派】おやぐまぎ(名)=親類。
おやぐまぎ[oyagumagi’]
親類、一族。【派】おやぐ(名)=親戚。
おら(俺)[ola’]
(一人称単数)私、僕。【複】おらんど、おらだぢ。【同】わぁ。
おらだぢ(俺達)[olada’zi]
(一人称複数)私たち、僕たち。【単】おら。【同】おらんど、わんだい、わぁだぢ。
おらんど(俺等)[ola’ndo]
(一人称複数)私たち、僕たち。【単】おら。【同】おらだぢ、わんだい、わぁだぢ。
おろぁ[o’loa]
口語 (久しぶりの人に再会して)あらまぁ。
おんじ[o(n)ji’]
次男。【参】あんさま=長男。

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