うぃあ津軽衆/津軽言語学/辞典:さ行

津軽弁辞典:さ行【134語】

~(さ)いね[(sa)ine’]
口語 ~(せ)ない。~することができない(不可能)。【例】さ・いね=でき・ない、はっけら・いね=走れ・ない。
~(さ)いる[(sa)ilu’]
口語 ~(さ)れる(受動態)。【例】はっけらさ・いる=走らさ・れる。のまさ・いる=飲まさ・れる。
~(さ)さる[sa’lu]
口語 成り行き上、自動的に行われる状態。【例】あす、こらさる=明日、来れますか。【例】どしても、しゃべら・さる・っきゃぁ=どうしても、言って・しまう・でしょ。
~(さ)なが[(sa)naga’]
口語 ~(し)なさいよ。~(し)たらいいよ。【例】すぎだぐ・さなが=好きなように・しなさいよ。
~(さ)ね[(sa)ne’]
口語 ~(し)ない。【例】さ・ね=し・ない。はっけ・ね=走ら・ない。
~(さ)へる[(sa)helu’]
口語 ~(さ)せる(使役)。【例】はっけさ・へる=走ら・せる。のま・へる=飲ま・せる。
~(し)ちゃぁ[(si)cha’:]
口語 ~(し)ていた(過去完了形)。「知って」や「待って」「寝て」のように、「て」が続く語に用いる。【例】しっ・ちゃぁ=知って・いた。ねっ・ちゃぁ=寝て・いた。
~(し)ぢゃぁ[(si)ja’:]
口語 ~(し)ていた(現在完了形)。「噛んで」や「しゃがんで」「読んで」のように、「で」が続く語に用いる。【例】あさい・ぢゃぁ=歩いて・いた。ね・じゃぁ=寝て・いた。
~(し)ちゅう[(si)chu’:]
口語 ~(し)ている(現在進行形)。「知って」や「待って」「寝て」のように、「て」が続く語に用いる。【例】しっ・ちゅう=知って・いる。ねっ・ちゅう=寝て・いる。
~(し)ぢゅう[(si)ju:]
口語 ~(し)ている(現在進行形)。「噛んで」や「しゃがんで」「読んで」のように、「で」が続く語に用いる。【例】あさい・ぢゅう=歩いて・いる。ね・じゅう=寝て・いる。
~(し)てあった[(si)teatta’]
口語 →(し)てった
~(し)であった[(si)deatta’]
口語 →(し)でった
~(し)てぇ[(si)te’:]
口語 ~(し)たい(希望)。【例】はっけ・てぇ=走り・たい。のみ・てぇ=飲み・たい。
~(し)てった[(si)te’tta]
口語 ~(し)ていた(過去)。「知って」や「待って」「寝て」のように、「て」が続く語に用いる。【例】しっ・てった=知って・いた。ねっ・てった=寝て・いた。
~(し)でった[(si)de’tta]
口語 ~(し)ていた(過去)。「噛んで」や「しゃがんで」「読んで」のように、「で」が続く語に用いる。【例】あさい・でった=歩いて・いた。ね・でった=寝て・いた。
~(し)てまる[(si)tema’lu]
口語 ~(し)てしまう。【例】はっけ・でまる=走って・しまう。のん・でまる=飲んで・しまう。
~(す)っきゃ[(su)kkya’(:)]
口語 ~(す)るよね。【例】はっける・っきゃ=走る・よね。のむ・っきゃさ=飲む・よね。
~(す)っきゃさ[(su)kkyasa(:)]
口語 →(す)っきゃ
~(す)ったらだ[(su)ttalada]
口語 (し)・そうな、(し)・そうだ。【例】め・ったらだ=美味し・そうだ。くる・ったらだ・かんじ=来・そうな・感じ。
~(す)っちゅうが[(su)cchu(:)ga]
口語 (する)というか。【同】す・ってすが。【例】くる・っちゅうが=来る・というか。
~(す)ってすが[(su)tte’suga]
口語 (する)というか。【同】す・っちゅうが。【例】くる・っちゅうが=来る・というか。
~(す)ど[(su)do’]
口語 (~する)そうです。【例】まま・く・ど=ご飯を・食べる・そうです。
~(す)はんで[(su)ha’nde]
口語 (する)から。【例】くる・はんで=来る・から。
~(す)びょん[(su)byo’n]
口語 ~(する)だろう(予想)。【例】はっける・びょん=走る・だろう。のむ・びょん=飲む・だろう。【参】南部では「~(す)ごった」。
~さ[sa]
口語 (場所・人・物)に。【例】わぁ、あおもり・さ・いがにゃぁ・まいね=私、青森・に・行かなきゃ・ならない。
~すぅ[su’(:)]
<他・五段>~する。【例】べんきょう・すぅ=勉強・する。べんきょう・さね=勉強・しない。

ざい(在)[za’i]
田舎、僻地。【派】じゃいご(名)=田舎者。
さいぎさいぎ(懺悔懺悔)[saiηisa’iηi]
岩木町で行われる祭り、お山参詣。そのかけ声が「サイギサイギ、ロッコンサイギ(懺悔懺悔六根懺悔)」であるため。
さがしぃ[sagashi’(:)]
頭がいい、賢い。
さがぶ[sagabu’]
<他・五段>大声で怒鳴る、怒る、呼ぶ。
さきた[sakita’]
さっき、さきほど。
さげっこ(酒っこ)[sagekko’]
酒。主に日本酒を指す。
ささる(刺さる)[sasa’lu]
<ラ・五段>(車が雪の積んである所に)突き刺さる。
さし(尺)[sasi’]
ものさし、定規。
さすねぇ[sasune’(:)]
うるさい。
さだだ[sadada’]
形動 困った事だ、厄介だ、大変だ。
さっと[satto’]
少しだけ、優しく。【例】こし・やめぇ・はんで、さっと・もんで・けぇ=腰・痛い・から、優しく・揉んで・下さい。
さっぱ[sappa’]
連体 さっぱり。「さっぱど」の略。【例】さっぱ・わがんねぇ=さっぱり・わからない。
さっぱすぅ[sappa’su(:)]
<自・五段>さっぱりする。【派】さっぱど=さっぱり。
さっぱど[sappa’do]
さっぱり。【例】さっぱど・すぅ=さっぱり・する。
さど[sado’]
砂糖。【派】さどめぇ=(砂糖が多くて)甘い。
さどめぇ[sadome’(:)]
(砂糖の味がして)甘い。
さふろ[sa’hulo]
スコップ。
さもだし[samoda’si]
キノコの一種、ナラタケ。津軽地方でよく食される。
さんけぇ(参詣)[sanke’:]
旧暦8月1日に岩木山で行われる祭り「お山参詣」。
さんじゃらっと[sanjala’tto]
さらりと、ちょっと、うっすらと。
さんと(産人)[santo’]
子どもを産む人、妊婦。
さんび[sa(n)bi’(:)]
寒い。

じぇんこ(銭こ)[jenko’]
お金。【例】じぇんこ・ねぇ=お金が・ない。
しかふぇる[sikafelu’]
<他・下一>→しかへる。
しかへる[sikaheru’]
<他・下一>教える、知らせる。【例】この問題・わがんねぇはんで、しかへで・けぇ=この問題・わからないから、教えて・頂戴。
じぎ[jigi’]
肥料、養分。
じぐ(軸)[jigu’]
度胸。【派】じぐなし(名)=度胸なし。
じぐなし(軸無し)[jiguna’shi]
小心者、恐がり。【派】じぐ(名)=心の芯。じぐねぇ(形)=小心である様子。【参】じぐ+なし。
じぐねぇ(軸ねぇ)[jigu’ne(:)]
度胸がない。【派】じぐなし(名)=度胸なし、意気地なし。
しげねぇ(繁ねぇ)[siηene’(:)]
寂しい。元気がない。
しける(仕換る)[sike’lu]
<他・下一>交換する。【例】そろそろ・冬タイヤ・さ、しけ・ねばのぉ=そろそろ・冬タイヤ・に、交換し・なきゃなぁ。
しける(湿気る)[sikelu’]
<自・下一>湿気で湿ってしまう。【例】この・せんべ・しけって・まっちゃぁ=この・煎餅・湿って・しまっている。
じさま(爺様)[jisama’]
お爺さま。【対】ばさま(名)=おばあさま。【同】じっちゃ、じっこ。
したしゃっつ(下シャッツ)[shitasha(t)tsu’]
(下着の)シャツ。
したばって[sitaba’tte]
口語 だって。しかし。【類】だばって=だけど。
したはんで[sitaha’nde]
口語 ①だから。②言ったから。
しちんじゅ(七十)[sitinju’(:)]
七十。
しっけぇ[sikke’(:)]
<グ>酸っぱい。【同】すっっけぇ。
じっこ(爺っこ)[ji’kko]
ジジィ。【対】ばば(名)=ババァ。【同】じっちゃ、じさま。
じっちゃ(爺っちゃ)[ji’ccha]
お爺ちゃん。【対】ばっちゃ(名)=おばあちゃん。【同】じさま、じっこ。
しなぶる[sinabulu’]
<他・五段>しゃぶる。【例】指っこ・しなぶる=指を・しゃぶる。
しなべる[sinaberu’]
<自・下一>鮮度が落ちて潤いがなくなる。【例】この・でぇごん、しなべじゃぁ=この・大根、シワシワにしおれている。
しねから(臑から)[sinekala’]
(足の)すね。【同】すねから。
しばらぐでした[si(n)ba’lagudesita]
口語 お久しぶりです。
しばれる(凍れる)[si(n)bale’lu]
気温が下がって、冷え込む。【例】けさ、しばれ・じゃっきゃ=今朝は・冷え込み・ましたね。
しびたがれ(虱集れ)[si(n)bitagale’]
虱(しらみ)がたくさん付いているような人。
しみらがす[simiraga’su]
<他・五段>凍らせる。【派】しみる(自)。
しみる[shime’lu]
<自・下一>凍る。【派】しみらがす(他)【例】けんど・しみで・まっちゃ=道路が・凍って・しまっている。
しゃぁねぇ[sha’(:)ne(:)]
しょうがない。【同】どうしょもねぇ。
じゃいご(在郷)[ja(i)ηo’]
田舎、田舎者。【派】ざい(名)=田舎。
じゃがら[ja(n)ηala’]
祭で使う楽器「手摺鉦」。
しゃぐし(杓子)[shagu’shi]
(調理器具の)お玉
じゃける[jake’lu]
<自・下一>(雪が解けて)グチャグチャになる。【同】じゃげる。
じゃげる[jagelu’]
<自・下一>(雪が解けて)グチャグチャになる。【同】じゃける。
しゃっけぇ[shakke’(:)]
<グ>冷たい。【同】しゃっこい。【対】あっつぅ。
じゃっこ[jakko’]
(生き物としての)魚。【派】じゃっこ・つり=魚・釣り。
しゃっこい[syakko’i]
<グ>冷たい。【同】しゃっけぇ。【対】あっつぅ。
じゃっぱ(雑端)[jappa’]
(魚の)あら。【派】じゃっぱじる(名)。
じゃっぱじる(雑端汁)[jappaji’l]
津軽の郷土料理「じゃっぱ汁」。鱈の骨や内臓などをみそ仕立てで汁にした物。
しゃべる[sha(n)be’l]
<他・下一>言う。津軽では「言う」はあまり用いない。【同】すぅ。
じゃま[jama’]
身長、たっぱ。
じゃわめぐ[jawame’gu]
<自・五段>背筋がザワザワと寒気がする。
じゃんぼ[ja’nbo]
髪の毛。【例】じゃんぼ・かに・いぐ=髪の毛を・刈りに・行く。
しゅどばさま(姑婆様)[syudobasama’]
夫または妻の母。しゅうと。【同】しゅどばば。
しゅどばば(姑婆)[syudobaba’]
夫または妻の母。しゅうと。【同】しゅどばさま。
じょっぱり(情張り)[joppali]
①意地っ張りな人。【派】ごじょっぱり(名)。②津軽地方の地酒の名称。③「津軽情張り太鼓」
じょっぱる[jo(p)pa’l]
<他・五段>強情を張る。【派】じょっぱり。②弘前市大町にある建物の名称。
じょっぱる[jo’(p)pal]
弘前市大町にある建物の名称。
じょで[jode’]
ほとんど、全く。【例】じょで・まね=全然・駄目だ。
しょぺぇ[sho(p)pe’(:)]
<グ>塩辛い、しょっぱい、味が濃い。【対】あめぇ(形)。
しょる[syolu’]
<他・下一>背中に背負う。
じょんずだ[jonzuda’]
形動 ①上手い、上手だ。②口がうまい。
じょんばけっつ[jonbake’ttsu]
お尻が大きく、出っ張っている人。
しょんべ(小便)[shonbe’]
小便、尿。【参】ばば=大便。
しらっぱつける[sila’ppatsukelu]
<自・下1>色落ちして白っぽくなる。【例】そした・しらっぱつけだ・シャッツ・きて=そんな・色落ちしたような・シャツを・着て。
しんけたがり(神経集り)[si’nketaga’li]
神経質な人。【派】しんけたがりだ(副)
しんけたがりだ[shinke(:)taga’lida]
形動 神経質な。【派】しんけたがり(名)=神経質。
しんじゅ(四十)[sinju’(:)]
四十。
しんねぇ[sinne’(:)]
<自・下一>堅くて噛み切れない。【例】この肉、しんねして・かいねぇ=この肉は、噛み切れなくて・食べられない。
しんびずげねぇ[si’nbizugene’(:)]
<グ>服装がだらしがない。
しんぷたれる[shi’nputalel]
<自・下一>古びるてヨレヨレになる。

すぅ[su’(:)]
<自・五段>①する。【派】~すぅ(動)。②言う。津軽では「言う」はあまり用いない。【同】しゃべる。
すが[suga’]
スイカ。
すがっこ[sugakko’]
スイカ。「すが」の丁寧形。
すがま[suηa’ma]
つらら。
すぎだぐ(好ぎだぐ)[sugida’gu]
好きなように。【例】すぎだぐ・さなが=好きなように・すればいいよ。
すぎづれ(好ぎ連れ)[sugizule’]
恋愛結婚
ずぐり[zuηu’li]
独楽(こま)。
すずがる[su(n)zugalu’]
構う、ちょっかいを出す。【同】かもる。
すっかど[sukka’do]
全く、全然。【例】すっかど・ねぇ=全く・ない。
すっけぇ[su(k)ke’(:)]
<グ>(発酵して)酸っぱい。【例】すっけぇ・かまり・すぅ=酸っぱい・臭いが・する。【同】すっぺぇ。
ずっぱど[zuppa’do]
深くはまってしまう様子。ずっと。全部。
すっぱね(すっ跳ね)[su(p)pane’]
泥はね。
すっぺぇ[suppe’(:)]
<グ>(酢のように)酸っぱい。【同】すっけぇ。
すねから(臑から)[sunekala’]
(足の)すね。【同】しねから。
ずぼんした(ズボン下)[zubo(n)shita’]
股引。
ずるすけ[zurusuke’]
ずるい奴、悪ガキ。
ずんぶ[zu’nbu]
ずいぶん。【例】ずんぶ・はっけだ・べぇ=ずいぶん・走った・でしょう。

せぎ[se’gi]
【地名】碇ヶ関(いかりがせき)。津軽藩と秋田藩の関所があった場所。
せば[seba’]
口語 それでは。【例】せば、どんだの=じゃぁ、どうなの。
せばだば[se(n)bada(n)ba’]
それなら、だったら、じゃぁ。【例】せばだば・いい・ばって=そうなら・いい・けど。
せばのぉ[se(n)bano’:]
口語 それではさようなら。

そい[soi’]
①そいつ、その人。②それ。
そごだり(其処辺り)[sogo(n)da’li]
そこらへん。【例】そごだり・さ・ある・びょん=そこらへん・に・ある・だろう。
そっちゃ[so’(c)cha]
そっちに、そちらへ。【例】そっちゃ・いへ=そこに・居なさい。【派】こっちゃ=こちらへ。あっちゃ=あちらへ。
そらで[sorade’]
手首の腱鞘炎。
そらはんど[so’lahando’]
そんなに、それほど。【例】そらはんど、いらねぇ=それほど、要らない。【派】こらはんど=これほど。あらはんど=あれほど。
そんだ[sonda’]
口語 そうだ、その通りだ。【派】あんだ=ああだ、あの通りだ。

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