

津軽言語学
津軽弁辞典
は
- ばぁくせぇ【ba(:)kuse’(:)】
- 形<グ>馬鹿臭い、腹が立つ、悔しい。【例】そした・ごど、ばぁくせして・やって・らいねぇ=そんな・こと、馬鹿臭くて・やって・られない。
- はいっと【ha’(i)tto】
- 口語はい、どうぞ。
- はえぇ(早ぇ)【hae’(:)】
- 形<グ>早い。【対】おせぇ。
- はがいぐ(捗行ぐ)【haga’igu】
- 動<自・五段>はかどる。【例】しごど、はがいっちゃぁ・なぁ=仕事、はかどってます・か。
- はがしょ(墓所)【hagasyo’】
- 名お墓、墓地。
- ばがっこ(馬鹿っこ)【bagakko’】
- 名お馬鹿さん。【例】わぁ、ばがっこ・だはんで=私、お馬鹿さん・だから。
- はかはかど【haka’hakado】
- 形動気が気でなく、でかせかするする様子。【派】はっかめぐ(動)。
- はぎ【ha’gi】
- 名箒(ほうき)。
- はぐ(履ぐ)【hagu’】
- 動[ガ五](手袋を)嵌める。
- はぐ(早ぐ)【hagu’】
- 副早く。【同】はえぐ
- ばくせぇ【ba(:)kuse’(:)】
- 形悔しくて、馬鹿臭い。【例】なんぼ、ばくしぇぇ・ば=なんて、馬鹿臭いんだ。
- はぐらん【hagula’n】
- 名日射病、熱中症、熱射病。【例】はぐらん・おごす=日射病に・なる。
- ばぐる【bagu’lu】
- 動<他・五段>交換する。
- ばげ(晩げ)【ba(n)ηe’】
- 名夜。【派】ばげまま=晩ご飯。【参】あさま=朝。
- ばさま【basama’】
- 名お婆様。【対】じさま=お爺さま。【同】ばっちゃ、ばば。
- ばすらぐ【basula’ηu】
- 動<他・五段>(臭いを)扇ぎ飛ばす動作。【同】ばふらめぐ。
- はだる【hada’lu】
- 動<ラ五>欲しがってせがむ。【同】あどはだりすぅ
- はぢまんさま(八幡様)【hazimansa’ma】
- 名弘前八幡宮。通称「八幡様」
- はっかめぐ【hakkame’gu】
- 動<自・五段>気が気でなく落ち着かない。【例】わぁ、きな・がら、はっかめぇで・まね・じゃ=俺、昨日・から、気が気でなくて・駄目だ。【派】はかはかど(形動)。
- はっから【ha’(k)kala】
- 副もうすでに。【例】はっから・したぐ・しちゃぁんずなぁ=もう・支度を・してるのかい。
- ばっけ【ba’kke】
- 名(植物、食品の)蕗。
- はっける【hakke’l】
- 動<他・下一>走る。【例】はっけ・まわって=走り・回って。
- ばっちゃ【ba’ccha】
- 名お婆ちゃん。【対】じっちゃ=お爺ちゃん。【同】ばさま、ばば。
- はど(鳩)【hado’】
- 名男性器。その形状が鳥の鳩に似ているため。【同】がも。【派】はどげ(名)=男性の陰毛。
- はどげ(鳩毛)【hadoηe’】
- 名男性の陰毛。【同】がもげ。【派】はど(名)=男性の陰部。
- はなおど(鼻音)【hanaodo’】
- 名鼾(いびき)。【例】なぁ・の・はなおど・さしねして、ねらいねがった・じゃぁ=君の・鼾が・うるさくて、寝られなかった・よ。
- はなぶぐろ(鼻袋)【hanabugulo’】
- 名小鼻。
- はなぺ(鼻ぺ)【hanape’】
- 名物の突端、先端。【例】このくるま、はなっぺ・なげぇ=この車、鼻先が・長い。
- ばば【ba’ba】
- 名ババァ。【対】じっこ=ジジィ。【同】ばっちゃ、ばさま。【音】ばば[baba']=大便、うんち。
- ばば【baba’】
- 名大便、うんち。【参】しょんべ=小便。
- はばぎぬぎ(脛巾脱ぎ)【ha(n)baηinugi’】
- 名長い旅行から帰った時の打ち上げの宴会。
- はばげる【ha(n)bageru’】
- 動<自・下一>(喉につっかえて)むせる。【例】そったに・けば、はばげで・まるね=そんなに・食べたら、むせて・しまうよ。
- ばふらっと【bafula’tto】
- 副(あたり損ないで柔らかく当たって)バフっと。
- ばふらめぐ【bafulame’gu】
- 動<他・五段>(臭いを)扇ぎ飛ばす動作。【同】ばすらぐ。
- ばやばやど【baya’bayado】
- 形動せわしなく動き回る様子。【例】かちゃくちゃねぇ・はんで、ばやばやど・すんな=腹が立つ・から、(目の前で)動き回るな。
- ばやめぐ【bayame’gu】
- 動目の前をうろうろする。【派】ばやばやど(形)。
- はらおっき(腹大っき)【halao’kki】
- 名妊婦さん。【参】腹+大きいから。
- はんかくせ【hankakuse’(:)】
- 形<グ>中途半端で、いい加減な様子。
- はんちゃ【hancha’】
- 名どてら、胴着。
- はんつけ【ha’ntsuke】
- 名仲間はずれ。
ひ
- びぎ【bi’gi】
- 名蛙。
- ひぎぃ【higi’(:)】
- 形<グ>低い。【対】たげぇ。
- ぴたっと【pita’tto】
- 副ぴったりと、ピタリと、ピシャリと。【例】びったど・ふったぐ=ピシャリと・叩く。
- びっき【bi’kki】
- 名赤ちゃん。
- びった【bitta’】
- 名メンコ。
- びったど【bitta’do】
- 副①ピシャリと(叩く)。【参】わっつど(副)。②ピタリと。【同】ぴたっと。
- ひっぱる【hippa’l】
- 動<他・五段>(車やバイクを)運転する。
- ひとけり【hitoke’li】
- 名一回、一度。【同】いっ・け。
- ひゃぁ【hya:】
- 口語だったら。【例】ひゃぁ・やぁ=そうでしたら・結構です。
- びろ【bi’lo】
- 名涎(よだれ)。
ふ
- ふぃげ(髭)【fi(n)ηe’】
- 名ヒゲ。
- ふぃじゃかぶ(膝株)【fi(n)jaka(n)bu’】
- 名膝(ひざ)小僧。
- ふぇぐ(百)【fegu’】
- 名百。【例】ふぇぐ・えん=百・円
- ふぇなが(背中)【fena’ga】
- 名背中。
- ふぎ(吹ぎ)【fugi’】
- 名吹雪。【派】ふぐ(動)
- ふぐ(吹く)【fu’gu】
- 動<自・五段>吹雪く。【例】けさ・だっきゃぁ、ふいで・ふいで=今朝・なんか、吹雪いて・吹雪いて。
- ふだっこ(札っこ)【fu(n)dakko’】
- 名花札ゲーム(主に「馬鹿っ花」をさす)。
- ふつける【futsuke’ru】
- 動<他・下一>(息を)吹き付ける。【例】ふって、ふつけなが=フゥって、吹きつけなさいよ。
- ふったぐ【futta’gu】
- 動<他・五段>叩く、殴る。【同】ぷったらぐ。【例】ふったがいだ=叩かれた。
- ふったつける【futta’tsukel】
- 動<他・下一>殴る。【例】ふったつけで・のして・まら=殴って・ボコボコにして・しまうぞ。
- ぷったらぐ【puttala’gu】
- 動<他・五段>叩く、殴る。【同】ふったぐ。【例】ぷったらがいだ=叩かれた。
- ふてぇ(太ぇ)【fute’(:)】
- 形<グ>(物や体型が)太い。【対】ほせぇ。
- ふとけり【hutoke’li】
- 名一度、一回。
- ふとづ(一づ)【futo(n)zu’】
- 名同じ。【例】そやしても、ふとず・だね=そうしても、同じ・だよ。
- ふらだげる【furadageru’】
- 動<他・下一>(物を)広げる。【例】そぅ、あし・ふらだげ・ねぇの=そんなに、脚を・広げ・ないの。
- ふらる【fulalu’】
- 動[ラ五]拾う。【例】じぇんこ・ふらっった・じゃぁ=お金を・拾った・よ。
- ぶりこ【buliko’】
- 名鰰(はたはた)の卵。
- ふんちゃぎ(藤崎)【funchagi’】
- 名<地名>南津軽郡藤崎(ふじさき)町。
- ぶんど【bundo’】
- 名(果物の)ぶどう。
へ
- へがへる【hegahe’lu】
- 動<他・下一>からかって、興奮させる。【例】あんま・へがへるな=あまり・からかうな。
- へがへる(急がせる)【hegahe’lu】
- 動<他・下一>急がせる、急かせる。【例】へがへで・まった・なぁ=急がせて・しまった・ねぇ。
- べご【bego’】
- 名牛。【同】べご。【参】まっこ=馬。【諺】まま・くって・すぐ・ねれば、べご・さ・なる=ご飯を・食べて・すぐ・寝れば、牛・に・なる。
- べごっこ【begokko’】
- 名牛。【同】べごっこ。【参】まっこ=馬。
- へずなみ【he(n)zunami’】
- 名苦しさ。【例】へずなみ・わがっちゅう・人=つらさを・わかっている・人。【派】へずねぇ(形)
- へずねぇ【hezune’(:)】
- 形<グ>つらい、苦しい。【例】なんだがさ、へずね・ったらだなぁ=何か、苦し・そうだなぁ。【参】南部弁では「せづねぇ」
- へちょべ【he(c)chobe’】
- 名(鍋や釜に付いた)焦げ付き。
- へっちょ(臍)【heccho’】
- 名臍(へそ)。
- へでくる【hedeku’lu】
- 動[カ変]連れてくる。【例】けやぐ、へでこいへぇ=友達を・連れておいでぇ。
- へば!【heba’】
- 口語(別れの挨拶として)さようなら!
- へばだば【hebadaba’】
- 口語それなら、じゃぁ。【例】へばだば、わも・いぐじゃ=それなら、私も・行くよ。
- へばのぉ!【hebano’:】
- 口語→へば!
- へらこ【helako’】
- 名姉さん女房。【諺】へらっこ持ぢ、果報持ぢ=姉さん女房を嫁にとると、幸せになる
- べろっと【belo’tto】
- 副突然出会う、突然現れる様子。【例】対向車、べろっと・でできたんず=対向車が・急に・出てきたんだよ。
- へんた(変た)【he’nta】
- 連体変な、おかしな。【例】へんた・かっこ・すんな=変な・格好・するな。
ほ
- ほいど(欲奴)【hoido’】
- 名欲張りな人。【派】くされほいど/ほいどくされ(名)=強欲な人。
- ほいどくされ(欲奴腐れ)【hoidokusale’】
- 名強欲な人(「ほいど」の強形)。【同】くされほいど。【派】ほいど(名)=欲張りな人。
- ほいどたがれ(欲奴集れ)【hoidotagale’】
- 名強欲な人。【動】ほいどくされ。【派】ほいど(名)、ほいどたがる(動)
- ほごす(解す)【hoηo’su】
- 動<他・五段>解体する。
- ほじょ(包丁)【ho’jo】
- 名包丁。【参】まぎり(名)=ナイフ。
- ほせぇ(細ぇ)【fose’(:)】
- 形<グ>(物や体型が)細い。【対】ふてぇ。
- ほたっこ【ho(t)ta(k)ko’】
- 名臨時収入、へそくり。
- ぼっこ(棒っこ)【bokko’】
- 名棒、棒っきれ。
- ほっぺた(頬ぺた)【ho’ppeta】
- 名(顔の部位の)頬(ほお)。
- ぼのご(盆のご)【bonogo’】
- 名盆の窪(くぼ)(=首の後ろの窪んだ所)。
- ぼへらっと【bohela’tto】
- 副ボケっと。
- ぼる【bolu’】
- 動<他・五段>追う。【例】あど・ぼって・あるぐ=後を・追って・歩く。
- ぼれぇ【bole’(:)】
- 形<グ>オンボロな様子。
- ほろごる【horogoru’】
- 動<他・五段>(ほこりを)払う。【例】そごで、ほろごるな=そこで・ほこりを払うな。
- ほんず【ho’nzu】
- 名馬鹿、頭が悪い人。「ほんずなし」の略。【例】ほんず、この=馬鹿か、この野郎。
- ほんずなし【honzuna’shi】
- 名馬鹿、頭が悪い人。【派】ほんずねぇ(形)=馬鹿な。がほんず(名)=大馬鹿。
- ほんずねぇ【ho’nzune(:)】
- 形<グ>頭が悪い。【派】ほんずなし(名)。
- ほんつくる【ho(n)tsuku’lu】
- 動<他・五段>(鼻などを)ほじる。